日本の「にがり」はわからないことだらけ!

 日本でのにがりは一般的には海水から食塩を製造するとき、濃縮して食塩を結晶化させたあとに残った液のことで、塩化マグネシウムを主成分とした様々なミネラルの混合体です。

 味は大変苦く、このことが名前の由来となっています。

 日本国内には岩塩鉱床がありませんから本当の意味の天然のにがりはありません。日本人にとってのにがりは海水からつくるもので、海水を原料としたものを「天然にがり」としているようです。

 ですが実際は上記のように「塩をつくった残りの液体」という定義しかありませんから、製造法によっては塩(塩化ナトリウム)を多く含んでいたりして、実際の成分はメーカーごとにバラバラなのです。

 問題なのは、成分がよくわからない状態にもかかわらず食品衛生法では粗製海水塩化マグネシウムという名称で登録されていることで、豆腐に使われる場合は、粗製海水塩化マグネシウムはすべて「にがり」と表記することが許されてしまうのです。

 ちなみに、2004年5月30日に放映された発掘!あるある大事典「にがりダイエット」がきっかけで、にがりの大ブームが起きて大量のにがり製品が販売されたことがありました。
 これらの商品を大阪消費センターがテストしたところ、「にがりの主成分であるマグネシウム含有量は100gあたり0.43g~7.4gと銘柄によって約17倍の差があり、マグネシウム以外の成分含有量も大きく異なっていた」と報告されています。

 国の対応の曖昧さがそのまま問題点として噴出した一例で、この件は食品添加物として許可を取っていない業者を販売禁止としたことで収束しましたが、にがりについては今もはっきりとした定義はありません

豆腐料理 にがり

 にがりは江戸の昔から豆腐の凝固剤(食品添加物)として使用され、おいしい豆腐をつくるために必要不可欠なものと使用され続けてきましたが、上記のように成分が安定しませんから、品質も安定しません。つまりは大量生産には向かないのです。

 戦時中ににがりが不足したことで代用品(硫酸カルシウム)などの凝固剤が使われるようになり、そちらの方が使い勝手がいいということで、今では豆腐の製造には、にがりではない凝固剤が用いられています。本当のにがりを使用しているのは一部のメーカーのみで、スーパーのお値打ちな豆腐はすべて凝固剤が用いられていると言っても過言ではありません。

 にがりはすでに日本の食卓から姿を消し始めているのです。

チベット高原の天然にがり

チベット高原 にがり

 チベット高原は大陸移動でかつて海だったところが隆起した土地です。海水は干上がり蒸発して結晶化し、地層化します。
 この地層化するときに、それぞれの成分に別れて固まりになりやすいものから沈んで下の地層を形成していきます。マグネシウム(にがりの主成分)は一番固まりにくく、順番としては地層の一番上になります。

 このマグネシウム分は溶けやすく流れやすいため地層として残らないことも多いのですが、チベット高原から発見された天然にがりの鉱床は、水分の少ないシャーベット状に結晶した天然の塩化マグネシウム(高純度97.7%)だったのです。

 内モンゴル出身のワンバートル博士、曰く

「塩の含有成分の中で溶解度の高い塩化マグネシウムが伏流水によっていち早く溶かされ、より深いところに分離浸透して結晶化。数千万年かけて世界にも類を見ない天然にがりの鉱床を形成したのではないか」と推測しています。

チベット高原 にがり採掘

 海抜4,000m、乾燥して空気の澄みきったチベット高原で、露天掘りされた塩化マグネシウムの結晶を水で溶いたのが木曽路物産の天外天にがりです。

 結晶を溶解させる製法でつくるため海水を濃縮するタイプに比べ、同じボーメ度でもより塩分が少なく、マグネシウム含有量が多いのが特徴です。

天外天にがり

海抜4,000m、乾燥して空気の澄みきったチベット高原で、露天掘りされた塩化マグネシウムの結晶を水で溶いたのが木曽路物産の天外天にがりです。