日本と内モンゴルの架け橋になりたくて…

木曽路物産の創業と会社設立

鹿野社長 モンゴル 衣装 乗馬
 

 私、鹿野正春は1966年に21歳で料理人として岐阜県恵那市のレストランに就職。1972年に独立して観光地である恵那峡で郷土料理の店を始めました。

 恵那の冬は厳しく、観光客の少ない閑散期になります。冬の時期の仕事を得るために山菜おこわや五平餅など木曽路の郷土料理をデパートでテナント展開し、国内外で物産展を開催する木曽路物産株式会社を1975年に設立。

 一時はハワイやアメリカ(ロサンゼルス・ニューヨーク)まで出店していましたが、1900年代のバブル崩壊の頃、事業を委譲する形で撤退し、次なる主力商品を得るために中国に事業の主軸を移しました。

内モンゴルでの無農薬有機農業と天然素材

 当時の中国は改革開放路線にあり、外国企業受け入れの気運が盛り上がっていました。1988年にすでに内モンゴルのウランホトを視察していた私は、手つかずの大自然のもとで無農薬・有機栽培による米づくりができないかと考え、試験的に米栽培を開始しました。

万佳食品有限公司 農場
 

 冬期の気温がマイナス30℃となる厳寒の土地ではほとんどの害虫が越冬できません。戦時中に満蒙開拓団によって潅漑設備が整えられたこの地では日本ではほぼ不可能と思われた完全無農薬の有機栽培が可能であること。また内モンゴルには塩を始めとするさまざまな天然資源がありました。

 

万佳食品 本社
 

 これらを原料にして完全無農薬・有機の味噌・醤油製造を企画し、1993年13社の協力会社とともに共同出資会社「(株)天外天」を設立。1994年には内モンゴル自治区ウランホト初の合弁会社「万佳食品有限公司」を設立。ともに研究・開発・製造を進めていきました。

 

 よい素材は食の原点です。
 内モンゴルの農産物と天然原料を使い、日本の製法で作られた味噌・醤油は、地元でも大変な評判となり、次第に中国全土へ販売を広げていきました。開発開始から8年後の2000年には有機食品JAS認定を受け、日本JONA年度審査通過して、日本への輸出も実現できました。

 協力会社と共に味噌・醤油を製造する一方、木曽路物産は当時の日本で専売制だった塩の輸入販売を開始し、2002年の塩の販売完全自由化に伴い「天外天塩」ブランドを確立。大相撲の懸賞旗を出すだけでなく内モンゴルの塩湖の塩と言えば「天外天塩」と言われるまでのブランドに成長させました。

 塩に続いて、2002年にはモンゴルの奥地から採掘される天然鉱物トロナ鉱石を100%原料にした「シリンゴル重曹」を開発。
 岩尾明子先生指導の下、重曹を掃除や生活の場に積極的に利用する提案をし続けて、2011年からの重曹大ブームの一躍を担いました。
 その間に天然原料からつくる「蒙古王かんすい」、「にがり」も開発して世に送りだしています。

木曽路物産のこだわりと信念

 食品業界では、毎年何百という目新しい新商品がつぎつぎと開発され所狭しと市場にあふれかえっています。そのなかで定番として定着するのはわずかです。
 生き残るものに共通するのは、作り手の並々ならぬ『こだわり』。
 木曽路物産が目指しているのは、すべてそんなこだわりの逸品ばかりです。

 本当においしい食品を作るためには、作り手が原料となる素材から、複雑な工程のひとつひとつに至るまで、細心の注意をはらい吟味して出来あがるもの。

 よい素材と出会うためには世界中どこまでも足を運び、産地の人々と心を通わせ、産地とともに学びあい、よい商品を開発していく。よい商品は一朝一夕にできあがるものではない。

 この信念の元に木曽路物産は皆様の元に、誠心誠意吟味した商品を送り続けているのです。

社会貢献事業

 木曽路物産は岐阜県恵那市の山の中に本社があります。小さく古い建物で、それは1972年の創業以来変わっていません。商売の規模が大きくなっても本社を移転しようとも思わないし、立派なビルを建てようとも思わない。本社にお金をかけるより、商品を生み出す『現場』にこそお金をかけるべきである…と思っています。

 その現場とは製品のふるさとである内モンゴルであり、木曽路物産のふるさとである恵那峡でもあります。
 内モンゴルに対しては1990年代の後半から砂漠緑化・植林事業を続けております。これらは社会貢献事業として胸を張って誇れるものですが、誤解を恐れずに言うのであれば、私は木曽路物産の事業そのものが内モンゴルの経済を潤し、そこに住む人々の生活を豊かにしていく社会貢献であることを目指しております。

 実際に1994年に設立した万佳食品有限公司が内モンゴル自治区有数の企業グループへと成長し、多くの地元の人々の雇用を支えるとともに、中国全土に安全でおいしい無農薬有機の味噌・醤油・漬物を提供し続けています。

 そして恵那峡に対しては、恵那再生事業として様々な取り組みを行っております。  

恵那峡 

 これからも内モンゴル天然素材を日本市場に広げることで、日蒙の架け橋になりたい。

 木曽路物産のふるさと恵那の地を盛り上げていきたい

 それが私たち木曽路物産の夢なのです。

代表取締役 鹿野正春